腸管MALTリンパ腫,DLBCL (ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of intestine, diffuse large B-cell lymphoma

 腸管に発生する粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue ; MALT)リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma ; DLBCL)は,いずれも成熟B細胞性腫瘍に属し,世界保健機関(WHO)分類,第4版1)では以下のごとく定義されている.すなわち,MALTリンパ腫は形態的に多彩なB細胞(胚中心細胞類似細胞,単球様B細胞および少数の芽球様大型細胞)が,主に濾胞辺縁帯(marginal zone)から濾胞間領域にかけて増殖する腫瘍である(Fig. 1)

Fig. 1 直腸S 状部原発MALT リンパ腫の病理像.
a  全割面切片のルーペ像.病巣は粘膜下層に存在し,マントル層(矢印)の外縁に相当する濾胞辺縁帯が細胞増殖の場である.
Fig. 1 直腸S 状部原発MALT リンパ腫の病理像. a  全割面切片のルーペ像.病巣は粘膜下層に存在し,マントル層(矢印)の外縁に相当する濾胞辺縁帯が細胞増殖の場である.

b  軽度にくびれた核をもつ胚中心細胞類似細胞が主体の増殖領域を見る(対物レンズ100 倍).
b  軽度にくびれた核をもつ胚中心細胞類似細胞が主体の増殖領域を見る(対物レンズ100 倍).

c  淡明な細胞質をもつ単球様細胞が主体の増殖領域を見る(対物レンズ100 倍).
c  淡明な細胞質をもつ単球様細胞が主体の増殖領域を見る(対物レンズ100 倍).

他方,DLBCLは正常の組織球の核と同じか,それ以上の大きさの核,あるいは小型リンパ球の2倍以上の大きさの核を有する大型B細胞のびまん性増殖から成る腫瘍である(Fig. 2).なお,いずれの病型も現時点では特異的な免疫組織化学的マーカーは存在しない.