腸管に発生する粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue ; MALT)リンパ腫とびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma ; DLBCL)は,いずれも成熟B細胞性腫瘍に属し,世界保健機関(WHO)分類,第4版1)では以下のごとく定義されている.すなわち,MALTリンパ腫は形態的に多彩なB細胞(胚中心細胞類似細胞,単球様B細胞および少数の芽球様大型細胞)が,主に濾胞辺縁帯(marginal zone)から濾胞間領域にかけて増殖する腫瘍である(Fig. 1).
他方,DLBCLは正常の組織球の核と同じか,それ以上の大きさの核,あるいは小型リンパ球の2倍以上の大きさの核を有する大型B細胞のびまん性増殖から成る腫瘍である(Fig. 2).なお,いずれの病型も現時点では特異的な免疫組織化学的マーカーは存在しない.