腸管子宮内膜症 (ガストロ用語集 2023 「胃と腸」47巻5号より)

enteric endometriosis

 腸管子宮内膜症の病型について,泉ら1)は腫瘤形成主体のendometrioma型と狭窄主体のdiffuse endometriosis型に分類し,endometrioma型は粘膜下腫瘤の結節内の子宮内膜腺が性周期に同期して出血し,diffuse endometriosis型は子宮内膜腺が壁内出血を繰り返したために線維化が進み腸管の伸展性がなくなり狭窄を来した状態としている.
 X線所見では,粘膜下層・固有筋層の線維化を反映し,粘膜下腫瘍様隆起の周囲から腸管の長軸方向に垂直に走行するひだ(transverse ridging)2)の収束像が特徴的な所見である(Fig. 1a).また,充盈像でみられる長い片側性の陰影欠損像(long filling defect)や鋸歯状の辺縁を伴う病変もあり,全周性に近い変化である場合は蛇の抜け殻様狭窄(Fig. 2)と形容される形態を示す.子宮内膜組織が粘膜内にまで達したときは,粘膜面の変化として網目状構造やcobblestone様の顆粒状隆起の所見がみられる.

  内視鏡所見では,多くは粘膜下腫瘍様隆起として観察され,ひだのひきつれを伴う場合もある(Fig. 1b, c)