狭義の膠原病の消化管病変とは,膠原病自体に起因する消化管病変のことである.
消化管病変を呈する代表的な膠原病として,
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus ; SLE),
強皮症〔全身性硬化症(scleroderma/systemic sclerosis ; SSc)〕,
結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa ; PN),
関節リウマチ(rheumatoid arthritis ; RA)が挙げられる.
SLEの消化管病変は,血管炎に起因するループス腸炎,蛋白漏出性腸症に大別される.
ループス腸炎は,小腸の急性浮腫性病変(虚血性腸炎型)と大腸に好発する多発潰瘍型に細分される1).
虚血性腸炎型は漿膜側の血管炎による虚血と腹膜炎が主たる病態であり,
小腸の皺襞腫大,管腔の狭小化および拇指圧痕像が広範囲にわたってみられる(Fig. 1a).
SScの消化管病変は,筋層における膠原線維増生と筋組織の萎縮・変性に起因する消化管の拡張と蠕動の低下を特徴とする2).
食道では管腔の拡張がみられ,蠕動運動低下に伴う逆流性食道炎を認める.
一方,小腸では主に十二指腸と空腸が罹患し,腸管蠕動の低下による偽性腸閉塞の症状を呈する.
主に内輪筋の変性が顕著であり,短軸方向に拡張するが,皺襞は保たれる(Fig. 1b, c).