輪状潰瘍(annular ulcer,circular ulcer)は腸管短軸方向に走行する潰瘍で,典型的な場合には全周性の病変である.
幅が広くなると帯状潰瘍(girdle ulcer)と呼ばれる.潰瘍または瘢痕によって対称性の狭窄を来した場合は輪状狭窄と表現される.
小腸・大腸でみられることが多く,この所見がみられる疾患としては
腸結核,NSAID(nonsteroidal anti-inflammatory drug)起因性腸炎,非特異性多発性小腸潰瘍症(慢性出血性小腸潰瘍症),急性出血性直腸潰瘍が代表的であるが,
Crohn病,虚血性大腸炎,虚血性小腸炎,放射線性腸炎,アメーバ性大腸炎などでもみられることがある1).
腸結核は右側結腸,回盲部,回腸に好発する.連続性のある輪状潰瘍よりは不整形小潰瘍が非連続的に輪状配列する場合が多く(Fig. 1),
連続した潰瘍を形成する場合は幅が広い帯状潰瘍であることが多い(Fig. 2).