消化器内視鏡における酢酸撒布法は主にBarrett食道の診断に有用性が報告されてきた.
胃癌に関しても拡大内視鏡を併用することで,境界診断に応用できることや,色調変化の反応時間などによって腫瘍の質的診断に応用できることなどが報告されてきた.
筆者は,従来の色素内視鏡による形態のコントラストの強調効果に加えて,酢酸を加えることで色調変化の上乗せ効果が得られるのではないかと考え,
酢酸インジゴカルミン混合液(acetic acid-indigo carmine mixture ; AIM)を考案した1)~3).
酢酸を胃に撒布すると,酸に対する胃粘膜の防御反応によると思われる粘液が増加する.
酸による粘液の産生性が腫瘍部,非腫瘍部で異なるため,腫瘍部ではインジゴカルミンの色素がwash outされることが多い反面,非腫瘍部では色素がしっかりと残存する.
このメカニズムにより,従来の色素でははっきりしなかった病変の境界部が明瞭に描出され,境界診断に非常に有用である.
特に従来のインジゴカルミンによる範囲診断では描出の難しかった隆起病変の周辺に拡がるIIb(Fig. 1),陥凹病変の周囲に拡がるIIbなどが明瞭に観察可能であり,