隆起型胃腺腫は幽門腺,または偽幽門腺化生を生じた胃底腺萎縮領域に生ずる白色調で,
平坦または軽度隆起した良性上皮性病変である(Fig. 1).
びらんや潰瘍を伴うことはなく,腫瘍径はせいぜい20mm未満である.
組織学的には管状構造が主体であり(Fig. 2),腸型(主に小腸型)の細胞形質が大部分である.
そして高円柱細胞から成る大きさの揃った管状腺管の密な増殖がみられ,
核は細長く,基底膜側に配列しており,増殖細胞帯は腫瘍腺管の上層部に局在している.
粘膜深層には非腫瘍性腺管(幽門腺)が残存し,二層構造を呈することがほとんどである.
腺腫は低異型度の高分化型腺癌との鑑別が以前から問題になっている.
病理医によりその診断基準が異なることもあるが,その鑑別が極めて困難な病変もある.
絨毛状や乳頭状の構造を伴う病変は,細胞異型が軽度であっても構造異型の点から癌と診断するのが消化管を専門とする病理医の傾向のようである.
NBI(narrow band imaging)拡大内視鏡観察ではメッシュ様血管網が比較的規則的に配列し,
その中に円形からスリット状の開口部を伴った腺管が配列し,開口部にはlight blue crestが散在的に観察されるのが腺腫の典型像である(Fig. 3).