1.直腸癌に対するESD後に追加手術が必要となったが、肛門温存手術が困難と思われたとき 塚田祐一郎(国立がん研究センター東病院大腸外科)

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早期大腸癌に対してEMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を施行する際に、SM深部浸潤や脈管侵襲陽性などで追加外科手術(腸切除)が必要なケースがあると思います。
結腸癌の場合は手術の同意が得やすいと思いますが、直腸癌の場合は永久人工肛門になってしまう可能性があり、なかなか追加手術に同意いただけないケースもあるのではないでしょうか? 
肛門近傍の直腸癌に対する肛門温存手術の実施にはある程度の経験が必要ですので、もし自施設での肛門温存手術が難しい場合、経験豊富な専門医に相談してみてはいかがでしょうか?


CONNECT-RCはWebを用いた無料の遠隔コンサルテーションシステムです。全国の医師ならどなたでもご利用いただけます。
直腸がん局所再発や初発直腸がんに関する相談を、治療経験豊富な医師に安全かつ容易に行える環境を提供します。
これにより、直腸がん局所再発・初発直腸がんの患者さんが、より良い治療を受けられることを目指しています。
ご自身の患者さんで直腸がんに関する診断・治療に悩んだ際は、ぜひご利用下さい!


【例】肛門近傍の直腸癌に対するESD後の症例

70歳代、男性。腫瘍下縁がヘルマン氏線上(外科的肛門管上縁)の早期癌(Fig.1)。
ESD施行後に追加手術適応と判断された(Fig.2)。

 
Fig.1 ESD前.
病変を矢印で示す(以下同様).


Fig.2 ESD後瘢痕.

前医では肛門温存困難でマイルズ手術(永久人工肛門)が提示されたが、肛門温存希望があり、国立がん研究センター東病院で肛門温存手術(Iintersphincteric resection: ISR)を受けた。
術後合併症なく退院し、以降は当院とかかりつけ医とで経過観察中。


*当サービスの詳細は下記をご参照ください。

直腸癌コンサルテーションサービスCONNECT-RCのご紹介 

消化器内科医、特に内視鏡医の先生方は、ESD後の追加手術適応をどう判断するかで悩む場面に少なからず直面します。直腸癌、特に局所再発や局所進行例は診断や治療が難しく、R0切除の可能性や切除の可否判断には高い専門性と豊富な経験が求められます。肛門に近い直腸癌では、肛門温存の判断に迷うケースもあるでしょう。

 CONNECT-RC は、直腸癌局所再発および初発直腸癌に関する相談(診断・治療・治療施設など)を、診療経験が豊富な専門家に無料で行える遠隔コンサルティングシステムです。国内の医師であれば誰でも利用でき、全体の治療方針や切除可能か否かの判断に迷う場合、切除可能と思われるが自施設での手術が難しく手術可能な施設を探したい場合など、多岐にわたる相談に対応します。手術が必要な場合には、コンサルタントの所属する病院への受け入れに関する相談も可能です。

直腸癌の患者さんが可能な限り手術による根治を目指せるよう、ぜひご活用ください。

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