直腸GIST(gastrointestinal stromal tumor)は完全切除により根治が期待できますが、時に巨大な腫瘍を形成するため、肛門や膀胱などの臓器を温存できないことがあります。
直腸GISTは非常に稀な疾患のため、豊富な経験を要する臓器温存手術に関して、専門施設の医師に意見を聞いたほうがよい場合があります。
もし自院で臓器温存手術が難しいと判断された場合、経験豊富な専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
CONNECT-RCはWebを用いた無料の遠隔コンサルテーションシステムです。全国の医師ならどなたでもご利用いただけます。直腸がん局所再発や初発直腸がんに関する相談を、治療経験豊富な医師に安全かつ容易に行える環境を提供します。また、直腸GISTや直腸NETといった癌以外の腫瘍にも対応しています。これにより、直腸や骨盤内の腫瘍をもつ患者さんが、より良い治療を受けられることを目指しています。ご自身の患者さんで直腸がんに関する診断・治療に悩んだ際は、ぜひご利用下さい!
例:巨大直腸GISTの男性
健診で前立腺肥大と言われ、精密検査で骨盤内腫瘤を指摘。EUS-FNAでGISTの診断。腫瘍下縁は肛門縁から4cmで、MRIでは骨盤内に8cm大の腫瘍を認めた(Fig.1)。
Fig.1 イマチニブ内服前の画像所見.
a:直腸MRI(T2 Axial).矢印がGIST(以下同様).
イマチニブを6か月内服し腫瘍は縮小したが、前医では肛門温存手術が困難との判断で、肛門温存手術目的に国立がん研究センター東病院を受診(Fig.2)。
TaTME(trans-anal total mesorectal excision)を併用した腹腔鏡手術で肛門・膀胱温存手術を実施した。
Fig.2 イマチニブ内服後の画像所見.
a:直腸MRI(T2 Axial).矢印がGIST(以下同様).
一時的人工肛門は必要であったが、人工肛門閉鎖術を終え、現在は人工肛門なしの生活を送っている。