第1回 挿入編
~まず挿入がなぜ難しいのかという問題から考えたいと思います!
大本 俊介(近畿大学病院 消化器内科)
初めまして、近畿大学病院 消化器内科 医学部講師の大本 俊介(おおもと しゅんすけ)こと、しゅん と申します。
胆膵を専門とする消化器内科医として働きながら日々超音波内視鏡(EUS)を実施しています。コンベックスEUSを世界一愛しているEUSマニアです。EUSが好きすぎて、EUSが好きすぎてEUS channel(https://masterofeus.com/eus)というサイトを作りましたが、もともとは白黒画像のEUSになんて全く興味はありませんでした。
しかし、EUSを実施するにつれて、早期膵癌の発見、ソナゾイド造影の美しさ、EUSガイド下ドレナージの患者満足度の高さなど、いろいろ経験するうちにどっぷりEUSにはまってしまいました。今では、EUSは自分自身にとって無くてはならない存在になっています。私の大好きなEUSの世界を分かりやすく! マニアックに!! お伝えできれば幸いです。
第1回は挿入編です。
まず、挿入がなぜ難しいのかという問題から考えたいと思います。われわれ消化器内科医は、食道への挿入は胃カメラ同様に喉頭蓋や梨状窩を見ながら挿入したいという思いがあります。
しかし、Fig.1のようにコンベックスEUSは前方斜視であるという性質上、しっかりと喉頭蓋や梨状窩を観察しようとするとダウンアングルを大きくかける必要があります。このようなスコープの形では、少しpushするとすぐに喉頭蓋にスコープが当たってしまいます。実臨床では、胃カメラと同様に大柄の男性は口腔内が広いことが多く多少喉頭蓋をみる余裕がありますが、小柄な女性や首が短い方は口腔内が狭いため特に挿入が難しい傾向があります。
ペロペロ挿入法:舌を描出しながらエコー画面で挿入する
そのため、内視鏡画面を見ずにエコーの画像中心に舌を描出しながら挿入していく方法を考えました。
舌とプローブがくっついていると喉頭蓋に当たりにくいので患者さんの負担が減ります。
Fig.2 舌を描出しながらエコー画面で挿入.
実際の方法ですが、舌を描出しながらプローブを圧着させてそのままスコープをupアングルで進めるとスッと抜けます(Fig.3)。
Fig.3 実際の挿入方法①.
ここから内視鏡画面に注目すると、被裂襞か、その襞の上の赤い線状の模様が見えます。そこで少し左回転して気管に入らないように少し進めて、左梨状窩に入り込みましょう。
そこで通常の胃カメラでは右回転で入れますが、EUSスコープの場合硬性部が長いため左回転(Fig.4)の方がおすすめです。左回転するとプローブの先端が右に向いてのように食道に挿入しやすくなります。
Fig.4 実際の挿入方法②.
Mov.1 ぺろぺろ挿入法(EUS CHUNNEL SHUNより).
まとめ
食道挿入は、前方斜視というコンベックス内視鏡の性質上胃カメラのように喉頭蓋を確認しにくい症例があります。エコー画面で舌を描出する事が挿入の助けになります。梨状窩に到達したら左回転すると食道挿入が容易になります。
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