2 Interval cancer、post-colonoscopy colorectal cancer (PCCRC) 、quality indicator(QI) 
大瀬良 省三(佐久総合病院佐久医療センター 消化器内科)

 

例えば数年前に大腸内視鏡検査歴があるにもかかわらず、今回の検査で大腸癌を見つけることをまれに経験すると思います。

これは、前回から今回にかけて新規に発生した癌か、もしくは前回の検査時に既にあったのに残念ながら見逃された癌かのどちらかによるものです。

今回はこのような癌である「interval cancer」および「post-colonoscopy colorectal cancer(PCCRC)」と、大腸内視鏡検査の質を評価する指標である「quality indicator(QI)」について説明します。

 

interval cancer

世界内視鏡学会(World Endoscopy Organization ; WEO) では、”Colorectal cancer diagnosed after a screening or surveillance exam in which no cancer is detected, and before the date of the next recommended exam.”と定義されています1)

大腸癌が検出されなかったスクリーニングもしくはサーベイランス大腸内視鏡検査後、無症状における検診間隔の間で発見される大腸癌のことです。

interval cancerの特徴として、右側結腸に多い、表面陥凹型、DNAメチル化異常であるCpG island methylator phenotype (CIMP)やDNAミスマッチ修復遺伝子異常によるマイクロサテライト不安定性microsatellite instability (MSI)の頻度が高いなどがあります。

右側・CIMP陽性ということから、sessile serrated lesion (SSL) などの鋸歯状病変の関係性も報告されています。

 

post-colonoscopy colorectal cancer (PCCRC)

“A CRC detected after any colonoscopy.”とされています2)

interval cancerはスクリーニング・サーベイランスなど主に検診領域で使用されるのに対し、PCCRCは、スクリーニングや症状の有無に関係なく、大腸内視鏡検査後に発見された大腸癌のことを指します。

つまり、interval cancerよりも広い意味で使用されることになります。

 

quality indicator (QI)

QIとは、医療の質を評価する目安となる指標 です3)4)

大腸内視鏡検査におけるQIは、以下の3つに分けられます5)

1.技術的QI
2.患者安全性QI
3.患者因子QI

Fig.1 大腸内視鏡QIにおける3要素.

腺腫発見率 (adenoma detection rate; ADR)、抜去時間(colonoscopy withdrawal time; CWT)、盲腸到達率(cecal intubation rate; CIR)、ポリープ回収率 (polyp retrieval rate; PRR) 、直腸反転率 (rectal retroversion rate; RRR)

[ Lee TJ, et al. Colonoscopy quality measures: experience from the NHS Bowel Cancer Screening Programme. Gut 61: 1050-1057,2012を参考に作成]

 

大腸内視鏡のQIにおいて、Fig.1のベン図で示すように3つが関連しています。

技術的QIとして、腺腫発見率 (adenoma detection rate; ADR)があり、抜去時間、盲腸到達率、直腸反転割合、鎮痙剤使用などが関係しています。その他、腸管洗浄度、ポリペクトミー、ポリープ回収率、鎮静剤使用などがあります。

 

次回は、このADRについて説明します。

 

【文献】
1) Sanduleanu S, et al. Definition and taxonomy of interval colorectal cancers: a proposal for standardising nomenclature. Gut 64: 1257-1267,2015
2) le Clercq CM, et al. Postcolonoscopy colorectal cancers are preventable: a population-based study. Gut 63: 957-963,2014
3) Rex DK, et al. Quality indicators for colonoscopy. Gastrointest Endosc 81: 31-53,2015
4) Rex DK, et al. Quality indicators for colonoscopy. Am J Gastroenterol 110: 72-90,2015
5) Lee TJ, et al. Colonoscopy quality measures: experience from the NHS Bowel Cancer Screening Programme. Gut 61: 1050-1057,2012

 

※次回は以下の項目について 5/19(金)公開予定です!

3 腺腫発見率 (adenoma detection rate; ADR)

4 盲腸到達率、抜去時間

 

続きの「3 腺腫発見率 (adenoma detection rate; ADR)」はこちら

 

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