第2回 TXIを併用した大腸腫瘍性病変のスクリーニング 
岡本 耕一(徳島大学病院 消化器内科)

オリンパス社製のEVIS X1シリーズでは新たな観察法としてTXI(texture and color enhancement imaging)が搭載された。本稿ではTXIの原理を概説するとともに、TXIを活用した大腸腫瘍性病変のスクリーニング法、及び大腸腫瘍性病変の観察法について概説する。

1.TXIの原理
TXIは画像の成分を構造画像と明るさ・色成分であるベース画像に分離し、前者にtexture enhancementを、後者にbrightness enhancementを加えた後に画像を統合させることで作成される。こうして作成されたTXI mode2に、さらにcolor tone enhancementを加えることでTXI mode1となる。当院ではコントラストがより明瞭となるためTXI mode1を基本設定としている。

2.TXIによるスクリーニング大腸内視鏡観察法
大腸内視鏡検査による腫瘍性病変の拾い上げに関してはNBIなどの画像強調内視鏡IEE(image enhanced endoscopy)を併用することで病変発見率が向上することが報告されている1)。TXIについての報告2)3)4)5)6)はまだ少ないが、最近、Sakamotoら2)はTXIを用いた大腸腫瘍性病変の描出能について多施設共同後向きコホート研究にて評価した。TXIはWLI(white light imaging)と比較して腺腫やポリープの発見率の向上に寄与し、特に見逃しの多い平坦・陥凹性病変に対する描出能を向上させると報告されており、見逃しを防ぐ新たなモダリティーの1つと考えられる。しかし、TXIの前向き臨床研究の報告は少ないため、今後のエビデンスの集積が期待される。

3.TXIによる大腸腫瘍性病変の質的診断
以前、当院での大腸腫瘍性病変における質的診断は、WLIで観察後NBIにてJNET分類で診断を行い、JNET type 2B以上であればクリスタルバイオレット染色を施行してpit pattern診断を行っていた。しかし、クリスタルバイオレットに関してカナダ保健省より本薬剤の発癌リスクが指摘されたことから当院では現在使用できなくなっている。よって、クリスタルバイオレット染色によるpit pattern診断に匹敵するものではないが、原液でのインジゴカルミン色素撒布下拡大観察時にTXI mode1を併用すると腺管構造がより視認しやすくなるためpit pattern診断に応用している。

本稿では、大腸腫瘍性病変の拾い上げや質的診断にTXIが有用であった症例を供覧する。

 

【症例提示】
[症例1] 右側結腸(盲腸、上行結腸)の観察
60歳代,男性.EVIS X1,CF-XZ1200.

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