第3回 EVIS X1の食道胃接合部領域の観察 
~特にBarrett粘膜における柵状血管のRDI観察のポイントについて~ 
山本 桂子(北海道大学病院 光学医療診療部)

はじめに

食道胃接合部癌やBarrett食道を診断する際、食道胃接合部のメルクマールとなる柵状血管を正確に評価することが大切です。EVIS X1に搭載された新規画像強調法のRDI(Red Dichromatic Imaging)は、粘膜表層よりも深い部位に位置する血管を強調するため、柵状血管の視認性が向上することが予想されます。RDIの各モードの特徴から、Barrett粘膜の観察(非拡大)のポイントについてお話しします。

 

RDIの基礎知識

RDIはESD時の出血点認識や、出血時の術者の心的負担軽減における有用性がクローズアップされていますが、原理としては、これまでの画像強調法が得意とする深度よりもより深い血管を識別しうる、3種の光から構成される画像強調法です。Red(620~640 nm)の光は表層から約1000~1500μmの深度まで到達して反射し、Green(520~550 nm)は深部まで到達せず、300μm程度の表層の血管に吸収されます。Amberの光はRed同様に深部まで届きますが、通過組織中のヘモグロビンに吸収され光の反射量が減衰します。この3つの異なる光の特性を利用し、血管のコントラストを形成するのがRDIの基本的原理です(Fig.1)。

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