1 大腸内視鏡観察 ~病変をいかに見逃さないようにするか
大瀬良 省三(佐久総合病院佐久医療センター 消化器内科)
皆さんはじめまして、佐久総合病院佐久医療センター 消化器内科の大瀬良 省三と申します。
早速ですが、大腸内視鏡検査中に、こんな経験はないでしょうか?
① スコープ挿入時、S状結腸でポリープを認めたけど、抜去時に見つけられない。
② ポリープを認め後日治療をしようと思ったら、あるはずの病変をなかなか見つけられない。また逆に、前回指摘しなかった病変を見つけてしまう。
③ 病変の観察中や治療中に、蠕動などで病変がひだ裏に隠れて見失ってしまう。
④ 通常観察・NBI観察後にインジゴカルミンを撒布したら、すぐ近傍に別の病変を見つける(つまり、通常・NBI観察の時、その病変に気付かず見逃していた)。
恥ずかしながら、上記はいずれも私の経験談です。
①~③は、病変があると分かっているにもかかわらず見つけられないという、悲しい状況です。
こういう経験をすると、普段気付いていないだけで、一体どのくらい病変を見逃しているか…、恐くなりますよね。
大腸内視鏡検査は大きく、挿入、観察、診断、治療の4つに分けられます。
この4つはいずれも大事ですが、特に観察は重要です。
どんなに挿入がうまく、病変の診断ができて治療が上手でも、病変を見つけられないことには診断・治療に結びつかないですよね。
大腸内視鏡検査における病変の見逃し割合は、だいだい4分の1くらいと報告されています1) 2)。
見逃しをゼロにするのが理想ですが、実際には難しく、少しでも減らすように観察することが大切だと思います。
大腸内視鏡検査で、どのようなことに注意し観察すれば見逃しを減らすことができるのか、これから数回に分けて述べていきたいと思います。
【文献】
1) Rex DK, et al. Colonoscopic miss rates of adenomas determined by back-to-back colonoscopies. Gastroenteralogy 112:24-28,1997
2) Leufkens A, et al. Factors influencing the miss rate of polyps in a back-to-back colonoscopy study. Endoscopy 44:470-475,2012
続きの「第2回 Interval cancer、post-colonoscopy colorectal cancer (PCCRC) 、quality indicator(QI)」はこちら
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