第4回 SSLとSSLDに対する内視鏡治療 
村上 敬(順天堂大学 消化器内科)

はじめに

『WHO分類第5版(2019年)』1)では 、大腸鋸歯状病変は 、hyperplastic polyp(HP) 、sessile serrated lesion(SSL) 、SSL with dysplasia(SSLD) 、traditional serrated adenoma(TSA) 、unclassified serrated adenomaに大別されます。

SSLDは 、SSL内に病理形態学的に明瞭な腫瘍性異型dysplasiaを呈するものと定義されます。第2回および第3回でSSLとSSLDの特徴的な内視鏡所見について概説しました。今回はSSLとSSLDに対する内視鏡治療について概説します。

 

治療適応

『ESGE ガイドライン』2)は 、直腸およびS状結腸の5mm以下の小さな非腫瘍性ポリープを除き 、すべてのポリープを切除することを推奨しています。

一方で 、本邦ではSSLに対する内視鏡治療の適応は確立していません。

本邦の『大腸ポリープ診療ガイドライン』3)では 、SSLは治療の適応であることは記述されていますが 、どのような病変を切除するかは施設や内視鏡医によって異なっているのが現状です。

SSLは5mm 以上あるいは10mm以上の病変を治療の適応としている施設が多いと報告されています。 

一方で異形成や癌を疑うSSLおよびSSLDは大きさに関係なく治療適応です(SSLDの内視鏡診断については 、「第3回 SSL with dysplasia(SSLD)の内視鏡診断」を参照ください)。

 

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